死にたがりのための長期目標の建て方講座

　というかでっち上げ方講座。

　新年度です。
　新年度is始まりの季節。
　始まりの季節は気候につられてお脳のあったかくなった経営者なんかが「目標が大事だ！」「やりがいを探せ！」「達成感を自分で見つけろ！」とぱっぱらぱーなことを言い出してついでに長期中期短期目標なんかをリストアップして提出せよなんて指示が飛んできたりする魔の季節。
　弊社でもお脳があったかくなった経営者が「快楽の源は達成感！ゲームだって達成感を目標にクエストをクリアする！」みたいなことを言っていていやいや報酬が頭から抜けてんじゃねえよ頭ぱっぱらぱーかよと思っているところです。エンジニアのレベルアップは確かに技術力アップかもしれないけど社会人のレベルアップは報酬アップだからね。チームリーダーとかのレベルが前者を言うならともかく、経営者から提示すべきものは後者だからね。そのあったかいお脳に風穴開けて冷やしてあげようか。
　今思えば新入社員として会社に入るのがこの季節というのはちょっとした事故だ。お脳があったかくなって変にやる気を出した馬鹿を一番最初に見なくてはならない。規則は年中変わらないから規則がだめなら即辞めていいと思うけど、この時期のひとびとは基本的にぱっぱらぱーなので、人間関係については半年くらい観察した方が良いかなと個人的には思う。気温が下がれば落ち着くような人間はそこそこいる。私は落ちすぎちゃって死にそうになるけど。

　さて、私は心に黒い犬を飼っています。名前はうつ病。ここ十年ばかり、私は死にたいと思いながら日々を暮らしています。なぜ死んでいないのかというのは今回関係ないので横に置いておいて。
　そんなだから「長期目標を立てろ」と言われると参ってしまう。五年後の自分をイメージしろと言われても、ここから五年も生きるのかと思うとめまいがする。どうしても五年後の目標となると「その頃には自死を遂げていたい」などの文言になってしまう。大変に好ましくない。
　このあたりは本心から引き出そうとしてはだめである。クソ真面目に五年後を想像して暗澹としてはいけない。もっと言えば自分がそうなるのだと想像してはいけない。
　想像すべきは「自分の年齢＋5歳程度の理想的な他人」である。職場にモデルケースがいるのであればそれを真似すればよい。あなたのようになりたいのですけど（ここは相手のいいところを具体的に上げられればベター）、何かやっていたことはありますかと聞いてみれば答えが返ってくるかもしれない。少なくとも減点はされない。
　職場にモデルケースがいなければアニメでも漫画でもゲームでも小説でも、とにかくなんでもいいからモデルケースをぽんと置いてみる。ここからは想像力の領域で、そのキャラが何歳のときにはどんなふうだったかをイメージする。二次創作の時に使う脳みそなので、できればめっちゃ好きなキャラがよい。知名度のある作品なら「あの作品のあのキャラみたいになりたいんです！」とでも言えれば伝わる。
　大抵の会社でそれは蒸し返されないので（書くだけ書いて終わりのことが多い）、傷つかない程度に適当なことを書いてやりすごすとよい。自分からめちゃくちゃにかけ離れたキャラクターを目標に置いたとてかまわない。
　周りのひとびと、特に入社直後は別の生き物に見えるような偉いひとびとも所詮は人間である。そのことがわからなくて当時ひどく落ち込んでいたので、今どこかで暗い気分になっている人にこの文章が届けばいいなと思う。上司も人間、面接官も人間。むろん、こちらとて人間。

　関係ないんだけどPL（男性）、服は胸元空きすぎだし謎にネックレスとかしてるし前髪長すぎだし素体は毛深いもっちりしたぶさいくだしで一目見るたびにひどく不愉快なのだけど、どういう種類の詐欺に遭ったらあんな服買っちゃうんですかね？