右の眼窩

薄暗くて狭いところ

今宵のテレビニュースは少年が 泥にまみれて銃いだきゐき/大河原惇行(おおかわら・よしゆき)

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うたの泉(1123)今宵のテレビニュースは少年が 泥にまみれて銃いだきゐき/大河原惇行(おおかわら・よしゆき)(1939年~)

戦争は過去のものではありません。世界各地で戦争が起きています。作者が見たテレビニュースで流れた映像には泥にまみれて銃を抱いている少年の姿。なぜ少年が銃を持って戦わなくてはならないのか。平和を享受する日本。作者は自分の家族あるいは身の回りにいる少年と引き比べたことでしょう。事実が淡々と歌われたことによってより一層問題の根深さが伝わってきます。「今宵(こよい)の」は字足らずの四音。作者のやるせなさを象徴しています。
(本田一弘)

「行く/往く」にゐって使わなくない? と思って調べてみたところ、現代仮名遣いでこの辺が変更になったのが昭和46年(参考)で、当時の情勢を考えるとこの方(46年時点で7歳)マジで単なる正仮名エアプの可能性があって笑う。いいんだけど別に。
 年齢だけを言うなら国民学校初等科にいておかしくない年齢(ゆえに一回正仮名習っている可能性はある)だけど、それにしたってそこから新仮名覚えてないはずがない。学校に行っているならなおさら。どちらにせよ現代仮名遣いになってからの方がよっぽど長いだろうに、なぜわざわざ正仮名を使ったんだろう? 「戦争のせいでろくに勉強もできなかった自分」とテレビに映っている少年を比べる書き方? いやでもその年齢ならご自身は銃なんて持たされなかっただろうしなあ。
 日本が戦争していた頃(≒正仮名の頃)と比べるための表現かな〜という気がしないでもない。戦争なんて過去のことだよと。いい加減終わろうと。となれば対比物は「テレビニュース」かな。太平洋戦争当時は無かったしね。たぶん上の句が現代、下の句が戦争時代のニュアンスを持つんだろう。
 あともし下の句が正仮名であるならば、少年が抱いてゐるのは「じゆう」じゃないか? ※太平洋戦争当時「鉄砲」「大筒」とかなので「銃」って言葉があったかどうかは知らん ※真相は詠者のみぞ知る

 表記間違ってるのは普通にだせえけど。をりとかにしときゃよかったのに。

 

ホツマツタヱまで遡れば「ゐき(往き、生き)」もあるっぽいけど関係無さそう